2018年03月03日

第90回「川崎学びの会」SV地曳先生による報告レポート

[はじめに]
 今回の報告レポートは川崎学びの会、SVの地曳先生による報告レポートとなっております。前回記載させていただいた同じ「90回報告レポート」は、同じく川崎学びの会顧問、SVの馬場先生による報告レポートとなっております。
 今回の報告レポートと前回のレポートを合わせてお読みいただくことで、より当日の様子(授業も協議も)についてご理解が深まるのではないかと思います。
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 O市のM小学校5年生算数の授業を扱わせて頂きました。「合同な図形」の単元の「三角形・四角形の角度」の内容です。1月の学びの共同体宿泊研修会の小学校分科会の実践報告で出会いました。
 中学校教員の私も参加していて、とても参考になる実践でしたのでその場でDVDをお借りしてきました。
 内容的には中学3年の「円と円周角」の内容です。二等辺三角形の性質から円周角を求める内容です。個人的には、中学1年生で先取りをして扱ってしまいます。M小学校は、協同的学びに取り組んで6年目になるそうです。
 さて、参加された方は18人と少な目だったのですが、充実した月例会になりました。
 子どもたちの「わからない?」を大切にして展開がされている穏やかな授業でした。5年生なので、入学をしてから「学び合い」の授業で成長してきている子どもたちですから、仲間を「待つ」ことが良く出来ています。担任のU先生も「待てる」先生です。
 自分の意見が言いたくて手を挙げたのですが、なかなか言葉にならない女の子をじっと待っている仲間たち。
「どうして正三角形になるかわからない」
「ここまでわかったけれど、この先がわからん」
「なんとなくわかったけれど・・・・」の不安げなつぶやき
授業の最初の頃に「わからない」という声をあげた男の子が、後半にスッキリと理解をしたようで仲間に説明している様子。(実は、その子は再び疑問を抱いてしまったようで考え込んでしまっていた。)
 配布されていたA4ワークシートを使っていたのですが、授業半ばでグループに大きなワークシートが配られました。その大きなワークシートを協同作業の場として探究が始まりました。支援が必要な子もいましたが、仲間が優しく手を差し伸べていました。
 協議のなかで、算数的には、
・分度器を使っておよその角度を測ってみることも必要ではないか
・どのような補助線を引いているかを交流させても良かったのではないか
 などの意見もでました。
 でも、見習うべき内容がちりばめられていた素晴らしい授業でした。「職場の先生方と観てみたいなぁ〜」との余韻が残りました。
 尚、U先生には、感謝をお手紙を出させて頂きました。
 第90回の記念すべき回数の月例会に相応しい実践事例に出会えました。

  川崎学びの会 SV 地曳


posted by 川崎学びの会 at 17:11| 研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

報告します 第89回「川崎学びの会」 

[はじめに]
 前回の「第90回 川崎学びの会の報告」が先に掲載されております。順番が前後してしまい申し訳ございません。
 以前にも4「第89回 川崎学びの会の報告」はSV地曳先生からの報告記事を掲載しております。今回はSV馬場先生より報告いただいたものを掲載しております。
 途中、データがうまく貼り付けられない部分があり、割愛させていただいている部分があります。ご了承ください。
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第89回川崎学びの会の報告です。
 今回は川崎市のH先生による小学校6年生の社会科「戦争中の子どもの暮らし」の授業をとりあげました。
事前にご希望いただいている方には、当日使用した(使用する予定だったものも含む)パワーポイントのスライド(子どもの顔が判別できないように処理)を添付します。
 教科書の社会科が「きれいに整えられて」いて、子どもたちにとってガラスの向こうの出来事をみるような学びになりがちなのを、授業者のH先生は避けたいと願って、もっと資料と格闘させ、その時代の子どもたちの暮らしをリアルに感じ、考えてほしいとこの授業をデザインしたのではないだろうか。そういう指摘がありました。参加者からは「なるほど」と感心する声があがりました。授業をされたH先生自身も「そうか、私の願いはそこにあったのか」と意図したことを明確に意識されたようです。
 自分との関りがあいまいで、知識としての社会科になりがちな社会科を私は「水槽の中の社会科」と表現してみました。その傾向は中学校3年の「公民」になるといっそう著しくなります。授業は70分を越えました。その間、子どもたちは誰一人投げ出さず最後まで考え続けました。
「だんだん変わっていく学校」「学区の長老 井上昭一さんのインタビュー」「軍事教練の写真」「奉安殿の前で整列し『捧げ銃』の姿勢をとる子どもたちの写真」「兵士に向かって敬礼する子どもたちの写真」「チャンバラごっこする子どもたちの写真」「防毒マスクをして遊ぶ子どもたちの写真」「工場で銃弾を作る女学生たちの写真」等々多くのオリジナル資料が用意され、H先生がこの授業にかける意気込みが伝わってきました。
 子どもたちの姿からはなんとかそれに応えようとする気持ちが伝わってきます。子どもたちはどうやらH先生のことが大好きなようです。
 それにもかかわらず、いま一つ「戦争中の子どもたちの暮らし」に迫ることができなかったように感じました。なぜか?中心になる課題があいまいだったのではないか?そのため、資料がつながらず、並列的
な追究にとどまったのでないか?それがもとで、せっかくせっかく用意されたオリジナル資料、ことに「だんだん変っていく学校」や「地域の長老にインタビューした資料」を十分に活かすことができなかったのではな
いか?
 手を挙げた子の発言を中心にして先へ先へと進み「つなぐ」「もどす」ことが乏しくて、思考が広がっていかなかったところがある。
 グループ活動では女子も発言しているのに、全体のなかでは女子が発言したのは3回だけでした。H先生も女子の発言を求めることがありませんでした。
 板書が子どもの追究を交流するメディアとして位置付けたいというH先生の意図が感じられました。しかし、その意識がまだ鮮明でないところがあり、子どもたちの中には、ひたすらその板書事項をノートする子がいました。
 その結果、考える子とノートをとる子に二分されてしまいまた。ノートをとる必用がないことを子どもたちが感じられるようにし、誰もが資料をもとに探究することに集中できるようにしたい。それらのことをもとに、フランスの授業で提示された次の課題例を紹介しました。
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あなたは1914年のフランスの子どもです。
ドイツとの戦争が始まった日、お父さんの召集がわかりました。
その日のあなたの日記を書きなさい。
 ※割愛させていただいた部分があります。ご了承ください。
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この課題に答えるには次のようなことが求められます
その時代の資料(写真、図、読み物資料等)を探す必要があります皆で分担して資料を探し、資料の相互間関係を整理する資料を読み込み、気づいたこと、考えたことを交流することで資料の読みが深まる。
それぞれに感じたこと、気づいたこと、資料の意味を整理し、自分の考えをまとめる。
時代、場所などを具体的に設定することで、それらのことが一つの物語として構成されていくことで、リアルで自分自身との関係を含む学びが生まれる可能性が大きい。
 以前に藤原正彦(数学者、随筆家)の著書のなかで、アメリカ在住時に藤原さんのお子さんが通っていた現地校の夏休みの宿題(たぶん)の例が紹介されていました。それは「開拓時代、東部に住む家族がアパラチア山脈を越えて西部に移住した。その旅日記を書け」という趣旨の課題が課されたことが紹介されていたように記憶しています。
 この課題に答えるためには、上記のような資料収集と解釈が必要になります。
 「学び合う学び」に取り組み始めた学校で、よく「評価はどうするのか」と質問されます。もし、このような旅日記やお父さんが招集された日の家族の会話とか、その日の日記を書くとしたら、それ自体が評価資料にもなります。しかも、高次能力の評価が可能です。

 この日は「風俗史」の研究者でもある草川剛人(スーパーバイザー、東大付属中等学校元副校長、帝京大学教授)先生は、戦時中子どもたちが歌っていた歌、遊び、着ていた服などの資料を紹介していただきました。
期待していた通り、驚くような資料が紹介されました。それを十分に紹介できなかったのがとても心残りでした。

                                     報告 SV 馬場英顕

posted by 川崎学びの会 at 11:19| 研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月02日

第90会「川崎学びの会」報告

 今回取り上げたのは小学校5年算数の授業「円と角」について考える授業です。

 事前に配信を希望すると申込みいただいている先生には当日のパワーポイントの資料(子どもの顔がそれと判別できる写真は加工)を添付します。

  この授業では「わからない」といことが大切にされたことで探究が深まっていくところが印象的でした。

 男子の発言が中心になったことが気になりますが、期待する発言が出たところでグループにもどすタイミングが素敵なところも印象に残りました。

 事情があって参加できなかった先生方が後悔されるのではないかと、ひそかに同情しています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

課題@「図のように、半径5cmの円Oの中心Oと円周上の2点を∠AOBが60度になるように結んでできる三角形の辺ABの長さを求めよう」

 課題A「図のように円Oの周上に3つの点A、B、Pを取り、AP,BP、AO,BOを結ぶ。∠AOB=106度、∠PAO=10度の時、∠PBOは何度ですか?」 

 授業では、課題@について考え、それに続いて課題Aについて考えました。

 印象的なのは、課題@のABが5cmであることがわかり、それが△OABが正三角形であることから説明できたときに「どうして正三角形なんかわからへん」というつぶやきが大切にされた場面です。子どもたちが入れ替わり立ち代わり説明すると「なんとなくわかった」と頼りなさげなつぶやきが漏れます。先生が「いまいちわからないという人いる?」と訊ねると2人の女の子がてを挙げました。

 その「わからん」ということにこだわったことが課題Aで効いてきます。

 課題Aについて考えている中で多くのグループでABを引いています。しかしPOを結んでいる子はいません。

 ひとりの子が指名されて「ABを結ぶと∠OABと∠OBAが37度だとわかりました。でもその先どうすればいいかわかりません」と発言しました。

 ここです。ここが重要なところです。「ここまでわかったが、その先がわからない」それをグループに戻して考えるとまた一歩先に進むことができます

 期待通り先生は「その先どうすればいいかグループで相談して」とグループに戻しました。

 課題のレベルが上がれば4人(ペア)の智恵では行き詰ります。そのときどうするか。そこが分かれ目です。伝統的な授業では、そういう時先生の説明やヒントを出して問題を教師がかみ砕いてスモールステップにしてきました。

 もう少しいいのが、できた子、分かった子が教える授業です。いわゆる「教え合い」の授業です。

 本時はわかった子が説明し、それをグループで学び直すという場面が多くみられました。

 例えば課題Aで、OPを結ぶ図が登場したところで「新しい線だね。これをもとに考えてみてはづだろう」とグループに戻したいところです。そうすれば更に探究が深まるのではないかと考えました。

 驚いたのは課題Aをほぼ完全に解決した子が、説明した子が課題@で「いまいちわからん。なんで正三角形なのかよくわからない」とつぶやいていただったことです。

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年度末の忙しいときだったせいか、参加者は18名と少なかったのですが、内容はどうしてどうして、とても充実しました。

 

次回は春休み(年度末、年度初めの休業)中の3月28日(水)に開催します。

授業はこの冬伊東で開催された「学びの共同体研究会」の全大会で取り上げられた社会科の授業を扱う予定です。

ぜひお知り合いの先生に声をかえ、お誘い合わせておこしください。

                   

                 馬場英顕

※こちらの記事は、馬場より川崎学びの会案内配信希望をされている方に向けて送らせていただいたメールを転記しております。メールでは問題の図も載っておりましたが、こちらの記事では割愛しております。ご了承ください。

posted by 川崎学びの会 at 17:39| 研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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