2018年06月20日

第93回「川崎学びの会」報告 SV馬場英顕先生

5月25日(金)に開催した第93回川崎学びの会の報告です。

 小学校の運動会を間近に控えた学校が多かったらしいこともあって参加者は16名とちょっと寂しい会でした。

でも内容は深かったですよ。

第1部では「クローズアップ現代+」で教科化された道徳の授業の問題を取り上げ「戸惑う先生、涙を浮かべる子ども」という放送を思い出しながら、考えました。

番組では二つの事例が紹介されてました。

「星野君の二塁打」:ルールを守ることの大切さ

「お母さんの請求書」:をもとにした授業では「お母さんはどんな気持ちで請求書を渡したのだろう」とたずねました。

「私の宝はたかしよ」「あなたの成長をみせて」という発言が続き「家族にはお金を求めないのが当然」いう考えが支配的になっていました。その時一人の男の子がみんなの意見と違う発言をしました。その子の手元のワークシートには「子どもっていいな。えらいことをするとお金がもらえるから。お母さんは0円なのよ。お母さんの気持ちになってみなさいよ」とありました。その子の家庭は共働きで、お母さんは帰宅後家事をこなしているようです。その姿をみていたのでしょう。

その発言に他の子が笑い、先生は「それでもお母さんは0円の請求書を渡したわけじゃん。お金がほしいんなら・・」と発言。他の子は「たしかに、1円、10円、100円でも書いて渡せばいい」と続けました。

他の子と違う考えを述べた子は涙を浮かべ、以後何も言わなくなりました。

道徳の授業が抱える問題をまさにクローズアップした場面でした。

複雑な家庭の子どもが在籍している学校の先生からは「本校ではこのようなテキストを扱うこと自体に無理がある」という発言があり、特定の価値に導くことの問題性に加えて、子どもたちの置かれた状況を忘れると道徳の授業自体が成り立たなくなることも話題になりました。

「星野君の二塁打」は「ルールを守ることの大切さ」を考えることを目的にしているとのことです。でもさすがはベテランの授業者でした。

「家事労働は無償」という考え方自体が問われているなかで、このテキストには問題があります。

「星野君の二塁打」はまるで日大のアメリカンフットボール問題を想起させるようなテーマです。

 

第2部では中学校1年の理科「地層」の授業を取り上げました。

地層の授業はどうしても先生による説明が中心になりがちです。この授業は地層の授業を、科学する学びとしてデザインしたところが秀逸です。

野菜ジュースの紙パックの中に3層の色違いのゼリー(下から青、白、茶色)で地層を作り、それをストローを使って3箇所「ボウリング」し、そのデータをもとに「地下」の地層を推定するという授業です。

ボーリングすると下から青、白、茶色の層が現れます。A、B、Cの3地点によってそれぞれの層の厚さが違います。

そこからが見えない地下を推定する本時の核心にあたる活動が始まります。

「支持層」にあたる青い層の上の面を3つの地点の深さから推定するのは、かっては1年生の数学の「立方体の切断」で学んだことです。しかし、今は扱っていないようです。

それもあって、子どもたちは四苦八苦。なかなか見えてきません。詳しくは添付のパワーポイントをごらんください。(川崎学びの会に参加し、ぜひメール登録をしてください。)

報告 SV 馬場英顕

posted by 川崎学びの会 at 15:23| 月例会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月23日

『2桁の自然数の特徴を3桁の自然数に拡張しました。』~第92回「川崎学びの会」授業事例より〜 SV 地曳善敬先生

 いつも「川崎学びの会ブログ」を楽しみにしていただいてありがとうございます。
ブログ更新を担当している畠山と申します。以下のブログは川崎学びの会、SVの地曳善敬先生が前回(92回)の川崎学びの会で扱わせていただいた授業事例の課題を、地曳先生の視点で考えると…という内容のものになっております。先にブログ内容を地曳先生よりいただいていたのですが、私の不手際で遅くなってしまいました。申し訳ございません。

 2桁の自然数の特徴を3桁の自然数に拡張しました。
地曵 善敬
第92回月例会の授業実践の子どもたちの笑顔が素晴らしかったので、あの課題を3桁の自然数に拡張してみました。
小学3年生の課題でも、子どもたちで発展させる可能性もあります。
指導者は知っていた方が安心ですので。(真性の学び??)


課題


2種類の2桁の自然数の積を計算する。さらに、それらの2桁の自然数の
十の位の数と一の位の数を入れ替えた2桁の自然数をそれぞれ作り、その
積を計算する。その2種類の積が等しくなる2種類の2桁の自然数を見つ
けなさい。
例 48×21=1008 入れ替えて  84×12=1008
でも、
 25×34=850 入れ替えて 52×43=2236
等しくならない。


十進法の位取りを無視して文字を使います。御注意を!
十の位の数 ・一の位の数 2種類の自然数を a b と x y とする。
上の課題が成立する条件は、a×x =b×y となります。
この条件を3年生の子どもたちは一生懸命に探究していました。
透明算(スケルトン算)と名付けていました。成る程!!でした。
この課題を3桁の自然数に拡張します。


課題


2種類の3桁の自然数の積を計算する。さらに、それらの3桁の自然数の
百の位の数と一の位の数を入れ替えた3桁の自然数をそれぞれ作り、その
積を計算する。その2種類の積が等しくなる2種類の3桁の自然数を見つ
けなさい。
例 246×963=236898 入れ替えて 246
  642×369=236898 と等しくなる。 ×963
でも、
  132×734=96888 入れ替えて 642
  231×437=100947 と等しくならない。 ×369



(100a+10b+c)×(100x+10y+z)の計算から条件を見つけることができる。
百の位の数・十の位の数・一の位の数 2種類の自然数を
a b c x y z とすると 本当は絶対値が必要ですが。
課題が成立する条件は2種類あります。 (証明は略します。中3〜高1程度)
条件@は a×x=c×z Aは(a−c)×y=(z−x)×b
2桁の時は、b=0 、y=0 なので 条件は@だけになる。(3年生の探究課題)
つまり、 a×x=c×z 。3桁のときは条件@とAの2種類が要求される。
例 421×248=104408 入れ替えて
124×842=104408 と等しくなる。

 いかがでしょうか?なんだか子どもと同様に頭を寄せ合って考えたくなってきましたね。
 次回「川崎学びの会」は5月25日(金曜日)となっております。
 どうぞご参加ください。
posted by 川崎学びの会 at 18:42| 月例会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第93回 「川崎学びの会」のお知らせ

第93回川崎学びの会を次のように開催します。

お忙しいとは思いますが、月に一回の機会です。深い学びのある授業づくりについて一緒に考えてみませんか?

 1.        第1部 

(1)日にち 5月25日(金曜日)

   時 間 18:00〜18:30

(2)場 所 第2部と同じ

(3)内 容 

 先日放映されたクローズアップ現代プラス 「道徳が正式な教科に!とまどう先生・子どもの涙」 を思い出しながら道徳の授業について考えます。

 2.        第2部

(1)時 間 18:30〜20:30

(2)場 所 川崎市高津市民館 第一会議室

 JR南武線「武蔵溝の口」駅

 東急田園都市線「溝の口」駅

下車 徒歩数分 丸井の入っているビルの11階

(3)内 容 中学校1年理科「地層」

 色をつけたゼリーで牛乳パックの中に作った地層を、ストローで「ボーリング」し、街の地下の地層を推定するという、とても興味深い授業です。 

 つい知識を教えておしまいになりがちな分野について「子どもが科学する学び」としてデザインした意欲的な授業で子どもたちはどのように学んだか。いっしょに考えてみませんか。

posted by 川崎学びの会 at 18:21| 月例会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする